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解体中!

前代未聞!

じゃないけれど、『チーナカ豆』店主、蔵の右側を半間分、削り始めました。

その様子、店主自らのご報告です。

蔵を半間分削ります。〈1〉

本当は、昨年中に取り掛かるつもりが、なんだかんだで年越してしまった。年越したかと思うと日々は過ぎて行くし、経験上、始めないことには始まらないことも分かってはいたので、ある寒い朝、布団から這い出すように、取りかかったのでした。
とはいうものの、蔵半間分削りの専門家というわけではないので、我流。蔵が二階建てなので足場がいる。が、取り敢えず、下屋の取り壊す部分の瓦と土を下ろす。
何が大変かといえば、蔵が建った年代が古いので母屋もだけど、屋根に土がのっているからいやんなる。瓦だけよりも3倍位手間かかる。蔵を眺めながら日々をやり過ごしていたのも、その作業の億劫さに気が滅入ったからだった。

蔵を半間分削ります。〈2〉

少し大きめな町の住宅地だと周りの目があって、火の気を立てるのにも気が引けそうだが、気温も下がって来たし、外での作業、こうやって火を焚き暖を取れるのはほんとうにありがたい。仮にお巡りさんに職務質問された時、暖をとってるならセーフだが、ゴミを燃やしてるなら逮捕される可能性ありらしい。
二階の屋根に上がるための梯子をかけたり、足場を建てたりしてます。
鋼管を組んだ簡単なものだけど、自前の足場です。あゝ、こんな真冬、60になった自分が自前の足場を持って蔵を半間分削るとかって、ぜんぜん想像してなかったなぁ。想定外。人生は想定外の連続だぁ。

そうさ、人生甘くはなぁいさぁ。

蔵を半間分削ります。〈3〉

屋根の上のラプソディ

 

母さん、天国にいる母さん
今日、悲しいことがあったよ
屋根の上に屋根があって
その屋根の上の瓦と土を下ろしたら

 

その瓦と土を下ろした屋根の
下の屋根の上に、どっさり土が
乗っかってたよ
オー・マイ・ゴットだもん!

 

母さん、天国にいる母さん
今日、とても悲しいことがあったよ
屋根の上に屋根があって
その屋根の下の屋根にも

 

どっさり土が、乗っかってたんだもん
母さん、天国にいる母さん
おいら、おいら、・・・・とっても
オー・マイ・ゴットだもん!

蔵を半間分削ります。(4)

取りかかったころ、瓦だけの屋根よりも労苦が3倍位だと嘆いた。けれど、直ぐにその嘆きかたが甘いということを思い知る。
土、土、土。
蔵は土の塊だといってよいくらいだ。それは、人を皮や骨はあるが肉の塊だといって良いくらいに確かなことのように思える。
まだまだ、先が視えて来ない。このあとには、分厚い土の塊が立ちはだかっているしね。
ところで、二重になった屋根の上の屋根の棟木が折れていることが確認できた。元々、屋根の棟瓦の様子から怪しいとは思っていたが、折れていたとは。
いろんなことがあるけれど、手を動かし続けるしかないねぇ。

 

 

 

蔵を半間分削ります。(5)

 

寒いね〜〜。
瞬く間に瓦に雪が降り積もり。
吹き付けてきた雪で軍手は濡れるし、
指先の感覚が無くなってくるわで
作業を切り上げた。
それでも、工事は屋根から壁へと一段階進だ。

明日はどうかな。予報では雪マーク。
なので、作業は諦め、頼まれていた
薪ストーブ設置依頼の下見で
大東へ行ってきまーす。

蔵を半間分削ります。(6)

屋根一面を格子に編んだ竹の笠が
かぶせてあるみたいに見える。
なんか捨てがたい眺め。
夏、涼しそう。
土を落としていくと、
中から組んだ竹が現れる。
竹と土の壁・・・・。

蔵を削るのが目的じゃなかったら
このまま残したい気持ちになる。
ガラスで覆って壁にしたら
嬉しくなるんじゃないかな
夏は、・・・・きっと。

蔵を半間分削ってます。(7)

先週の金曜日夜中、喉に違和感があり
そのまま発熱、で、寝込んでしまいまして、
月曜日、熱も下がり峠を越え
た感じではあったけれど、怠さが残る感じが
抜けなかったので、家族でかかり付けてる
近所の医院で診てもらったら
インフルエンザのA型と診断された。
おっと〜!とっとっと。
ただの風邪でも子供たちに移ると
大変になるので、気は付けていたころが
インフルとということになったので、
僕をみるかみさんの眉間と目尻がぴくぴく。

結局寝込んだのは5日ほど。
ずーっと寝てたので、
長〜い五日間だった。
その間に月も変わり2月に。
2月は逃げる。
3月は去る。
鈍った身体を騙しだまし動かして
先を急がねば・・・・。

今のところ子供たちに移った気配なし。

蔵を半間分削ってます。(8)

 

次の段階として、
蔵二階の半間分を削る為
二重屋根の折れた棟の補修や、太い梁を
支える柱材の手配をしなければなりまへん。

何年か前に廃材で手に入れ持っていた
栗材の五寸柱が、寸法をみたところ
使えることが分かり、ちぃっと、嬉しくなる。

ただ、貫の通し穴やホゾ穴やらと
穴だらけなので、明かりとりも兼ねて
ガラスを嵌めることにした。
(ガラスの厚みは5mm)

窓をつけるか迷ったが、見えても
隣の屋根が見えるだけなので
閉じることにした。

蔵を半間分削ってます。(9)

屋根垂木のゴツさに比べて棟木材が貧弱に思える。それと三間幅に対して束が両端と真ん中の3個しかない。せめて間にもう一個づつあれば棟木が折れる事は無かったはずだ。棟梁の判断か?ま、後からはどうとでも言えるけどね。
長い時間をかけて折れたり曲がったりして、屋根に癖がついているので、強引に力を加えると弱っているところを痛める可能性もあるので注意が必要。
ステップワゴンに付いてるジャッキを使った。ジャッキのハンドルを回していくと、垂木の軋む音が気味悪いので、そこそこのテンションが掛かったところで、棟木の折れた部分に束を叩き込み良しとした。
それと、作っておいた栗材の五寸柱を二階の梁に立てた。

昨日、「おとうさんの工事、だいぶん進んだね」とユージンが言ってたらしい。みてない様で見てるのね。

蔵を半間分削ってます。(10)

 

気分転換のつもりでじょっと
土壁を崩していたら、気持ちの中で
なにかがはじけたみたいに
一気にいってしまいたくなった。
バールで崩しては、スコップで
猫車に乗せ空き地へ運ぶ運ぶ運ぶ。
何往復したんだろうか。
ひたすら運んだ。

蔵を半間分削ってます。(11)

 

取り敢えず、大方の土を取り崩し終えたことで
少しは、視界が拓けた気になった。
あとは屋根の仕舞いと、二階部分を
削り取った後の仕舞い。
そこまでやれば、工程の七割位だろう。

古材の良いところは、労を惜しまなければ
タダで手に入るということと、
材が良く乾燥しているということ。
手持ちの古材の中で檜の柱を
そのまま柱や、間柱に加工する。

こうやって壁の下地を組むと
ああ、やっとここまで辿り着いたなぁ。
などと、感慨に浸りたくなる。
ただ、先はまだまだ長いけれどもね。
土台の基礎石は?どうなるんだろうとか
・・・・今は、考えない。

蔵を半間分削ってます。(番外)

その昔、地元で取れる土で
焼かれた宅野瓦とよばれる瓦がある。
釉薬の無い、灰色の焼き〆瓦だ。
現在焼かれている石見瓦のように
精巧なものではない。
大きさも微妙に違ったり
反りかえってるものもあったりと
歩留まりも悪かったはずだ。

この灰色の瓦がのった屋根は
ここ宅野でも少なくなってしまった。
たまに、ののの迎えで保育園のある
波渧寺から宅野の町並みを見下ろすと
艶のある黒瓦の屋根の中に
僅かに数軒、煤けたような
つや消し灰色瓦の屋根が残っていて
その消え入るような数軒の内の
ひとつが、うちの屋根でんですな。

画像のものが「This is it」です。
どうです。難儀そうでしょ?
う〜〜ん、くらくら!

この味のある瓦は、微妙に
サイズのブレがあるので
練った土に瓦を押し付けるという方法で
瓦を屋根にのせるんですが、
宅野のような海辺の町では、
長年吹きつける潮風で土の風化が進み
パウダー状になった土が瓦を支える力を失い
ずれて口が開き、雨が漏れる 。

本来であればズレた瓦の下に
練った土を盛り、瓦の通りを見ながら
屋根全体を整えていくというのが
本筋でしょうが、考えただけでも
気が滅入るのか、もっと気が滅入る
ことをしてしまうのが工務店さんという話。

画像のように、並びもなにも無視して
セメントで固め、とりあえず雨漏りを止める
という事をしてしまうと、数ヶ月から数年後には
雨漏りして、更にセメントで固めて・・・・。
いずれは、屋根替えというとに。
ま、懐に余裕があれば、それも一つの選択肢。

時代は流れ、艶消し灰色瓦の屋根は少数派へ。
今では、貴重になったともいえる宅野瓦の屋根。
僕に気力があるうちは、というか
生きている間は、なんとか触り続けて
残したいものだなぁ・・・・と。

蔵を半間分削ってます。(12)

 

実は、四日間、知人に頼まれ
金物大工の助っ人に行ってました。
現場が安来と遠いので、
こちらを6時には出発という
最も苦手なパターンで、前の晩に
朝、ちゃんと起きれるか心配で、なんで
引き受けちゃったかなぁと
しきりと、後悔したものでさぁ。

さて蔵の方は、
やっと、屋根の仕舞いを終え
二階部分の躯体を解く作業へ半歩前進。

太い梁の切断の為、暫く使わなかった
チェーンソーを引っ張り出した。
この日、江津から遊びに来ていた友人が
「昼ご飯ぶん手伝うでぇ〜」と。
ありがたい助っ人登場というわけで
怪我もなく作業を終えられて、
更にまた、半歩前進ということに。

蔵を半間分削ってます。(13)

 

夕食の時に飲んだワインが
少し過ぎたのか、意識が戻った時には
ちょうど日付が変わった真夜中だった。
トイレに行きたくて、目が覚めたようで
ヤドカリのように半身を炬燵に潜らせ
ぼろきれのような目覚めだった。

さて、画像でお分かりのように
二階部分の仕舞を終えた。

外壁用の材として焼杉という選択もあった。
実際、母屋の修繕の時は焼杉材を使ったけれど
手持ちの柿渋を使い切ってしまいたい
という事情もあり、こういう選択となった。
柿渋は京都西川本店から取り
寄せたもので、最低ニ度塗りとした。

では、いよいよ明日からは、
一階部分へと、歩を進めますよ

蔵を半間分削ってます。(14)

なんで蔵を削ってるのかという
根本的な疑問?は置き去りにしたまま
です。
百年くらい前のボタンの掛け違い
の様な事が、いまのいままで
ずーっと、後を引いていて・・・。

お隣の土地にこちらの蔵がはみ出ている
ということの様です。
僕たちが越して来て母屋の改修工事に
取り掛かたころ、その問題が表面化して
後からやって来た僕らには
「えっ!そうなんですか?」としか。

近所の人がいうには、こういう土地の
トラブルは結構、其処彼処であるのだとか。

最初は代が変わるなら蔵を解いて
という話も出ていたのですが、
当時、其れに対応する余裕も余力もなく
引越し移転に暗雲が立ちこめたものの
とりあえず、代は変わらないというこで
話がおさまり、土地のことは棚上げ
という事になっていた訳です。

ま、ただ、この先この場所を子供たちに
引き継いでということを思うと
まだ身体が動くうちに、この問題を
終わらせておこうと、一念発起したということ。

さて、蔵の一階部分は、お隣との
境界の塀代わりにもなるので
画像のピンク色の水糸の様に斜めに
カットする作戦です。
少し懸念していた通り蔵の基礎石は
ごついなぁ〜と、落胆。。。
こいつを動かさんといかんと考えるだけで
ちょっと、腰に来るものがあるのさ〜。

蔵を解いていきながら抜いた釘を
バケツに放り込んでいたらこんなに。
持つとずっしりと来て、感触としては
10キロ以上はありそう。鉄の買取価格が
ちょっと前で、キロ18円という事だったから
200円位はありそうだ。

蔵を半間分削ってます。(15)

確定申告が終わったので、作業再開。
三段積んである基礎石は
ぜんぶ自然石で積んであると思っていたが
一番下の地面にめり込んでいる部分は
コンクリートになっていた。

・・・・厄介だ。
どういう仕舞方にするかはお隣さんと
話さないとなんとも言えないが、
幸い、石の上面が地面とすれすれぐらいなので
とりあえず、放置して作業を進める事にする。

ギリギリはみ出さない奥の部分の
基礎石2段は外さずバールでゴリゴリしてみた。
上手くいった。・・・・と、思う。
はみ出ている手前の石は仕方ないので切り取る。
本当は新しく引っ張ってくる石と
りゃんこになるようにした方が良いが
ぼくの持つ道具では大変だ。・・・やってみる?
少し考えてみよう。

削る形に合わせて基礎石を
積み直す部分の基礎を固めるため
瓦とかを割リ入れるついでに、割れた鍋とか
皿とか茶碗とかも放り込む事に。

割ってしまってから、あ!と、
土鍋の亀の顔が頭に浮かび
慌てて探してみたら、なんとか無事だった。
コレは残しておこう。
どっか壁とかに埋め込むといいよね。

蔵を半間分削ってます。(16)

 

ちょっと、思い巡らしただけでも面倒で
そんなことは、「むり、むり!」と、
諦めてしまったけれど、本当はりゃんこというか
互い違いにして、縁が切れないようにするのが
良いのは分かっている訳です。

ただ、見ただけで臭ってくるような、だったので
見て見ないふりで通り過ぎるつもりだしたけど
そんなんで良いのかぁ?・・・・と
もうひとりの自分に声かけられて、
引きもどされたという訳でさぁ〜。

やってみると、案ずるより産むが易し。
手間はかかったのですけれどね、
それほどでも無かったな、、と。
達成感もあり、気分を良くした勢いで
なんと、1段目をやっつけちゃいましたよ。

さぁ〜、先が見えて来た、
ぞぅ〜〜〜っと。

蔵を半間分削ってます。(17)

早いもので3月も終わりで、
予定では蔵を削る作業は終わっているはずで
ま、未来に向けての予定は予定として
目指しながらもあまりそのことに
囚われないようにしたい。

天気予報だって外れるしね。
あまりに囚われると、今生きている
ということさえ、辛くしかねないしから。
今生きているということを大切に思いながら
ある程度の誤差は受け入れよう。

基礎石を動かすために剥がした床を
閉じる前に、重量が掛かることになる
大引きに、束をたて補強した。
移動した基礎石に土台を戻し、柱を立る。
こんな風に言葉で書くように
実際の作業も簡単だったらいいのにね。

一階部分の屋根が終わり、作りつけてあった
引き出しの具合の調整も出来て、
さて・・・・壁を閉じれば、
いちようの完了ということに。
内部の造作は、また後日にでも・・・・。

一階は、アトリエスペースとして
二階は、ゲストハウスへと変身予定です。
ま、今のところの予定です。

蔵を半間分削ってます。(終)

そりゃあ〜〜〜。
足場を解きながら、思いましたさぁ。
・・・・終わったな、と。

とはいっても・・・・ま、

内部の仕上げが残っていたり
ブロック塀の残りを倒すんだったり
境界に合わせて下屋を削ることとか・・・・
残ってはいますけれどもね。

ま、いちよ方がついたと言えるので
・・・・つぎへ進めます。

四月に入り、営業再開日を決めなければ

ならないということもあり、

いろんな方向から、いつ再開だと聞こえて

来るので、一日一日、緊張がたかまる

中で、口数も少なく、やらなければ

ならないことはやりますよ。

・・・・と、無言で作業する日々だった。

終わったら、バーベキューでも

したいなぁ。そんなこと思っていたが、

そんな、猶予もなくて、

琴が浜の『チーナカ豆』再開へ向け

掃除や仕込やら準備に追われている。

猶予がない。

なんか、そんな感じの人生だぁ。

追われてる。・・・・そんな感じ!

琴が浜の『チーナカ豆』

4月20日(木)再開です。

よろしく、おねがいします。

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